出張買取のトラブルで最も多いのは、「不用品を何でも買い取る」と誘って訪問し、目的だった貴金属を執拗に求めて強引に買い取る手口です。全国の消費生活センターに寄せられる訪問購入の相談は2025年度で7,523件。契約当事者の約8割を60歳以上が占めます。
相談事例には、査定と称して貴金属を持ち去られたという「事件」に近いものまで含まれます。一方で、出張買取そのものが危険な仕組みなのではありません。利用者から依頼した出張買取は特定商取引法(訪問購入の規制)で守られており、依頼していないのに訪問してくる業者のほうが、その時点で法律の禁止行為をしています。
この記事では、国民生活センターと消費者庁の公表資料にもとづいて、実際に起きているトラブルの手口、悪徳業者と安全な業者を分ける確認方法(古物商許可番号の照合のしかた)、そしてトラブルになったときの相談先(消費者ホットライン188)を整理します。
読み終えたときに、「どの業者なら家に入れてよいか」を自分で判定できる状態になることがゴールです。
目次
出張買取のトラブル相談は年7,500件超
まず規模から確認します。自宅に業者が来て物品を買い取る「訪問購入」(出張買取はこれに含まれます)について、全国の消費生活センター等に寄せられた相談件数は次のとおりです。
| 年度 | 相談件数 |
|---|---|
| 2023年度 | 8,623件 |
| 2024年度 | 7,909件 |
| 2025年度 | 7,523件 |
PIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)の登録分。国民生活センターの相談データページ(2026年7月31日更新)を2026年8月31日に確認。特定商取引法の訪問購入に該当しない相談も含まれます。
ピークからは減っているものの、年7,500件を超える水準が続いています。1日あたり20件以上の相談が全国のどこかで寄せられている計算です。
特徴的なのは相談者の偏りです。国民生活センターが2024年9月に公表した分析(2023年度受付分)では、契約当事者は60歳代17.2%・70歳代28.5%・80歳代28.0%・90歳以上4.7%と、60歳以上が78.4%を占め、女性が74.6%でした。狙われているのは、日中に一人で在宅していることが多い高齢の女性です。本人だけでなく、離れて暮らす家族が知っておくべきトラブルだといえます。
典型的な手口は貴金属への執拗な誘導
相談事例に共通する流れは、驚くほど型が決まっています。
- 「不用品を何でも買い取る」と電話がかかってくる——「貧しい国に寄付する」など、親切心に訴える口実が添えられることもあります
- 訪問すると、用意した衣類や食器には目もくれない——数千円で形だけ買い取ることもあります
- 「貴金属はないか」「宝石はないか」としつこく聞かれる——ここが本当の目的です
- 断り切れずに見せると、強引に買い取られる。ひどい場合は持ち去られる
国民生活センターが2023年9月の注意喚起で紹介した事例も、「洋服を出そうと来訪を承諾したら、貴金属はあるかとしつこく聞かれ、強引に買い取られた」というものでした。品目別の相談件数を見ると、この構図が数字にも表れています。
| 品目(2023年度・上位から抜粋) | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 商品一般(対象が特定できない事案など) | 2,127件 | 24.7% |
| アクセサリー | 1,620件 | 18.8% |
| 四輪自動車 | 448件 | 5.2% |
| 和服(着物) | 427件 | 5.0% |
| 食器 | 385件 | 4.5% |
国民生活センター2024年9月18日公表資料の表(n=8,595)より抜粋。「商品一般」には「何でも買い取る」と勧誘され対象が具体化していない事案が含まれます。
電話の入口は「何でも」なのに、相談の中心はアクセサリー——つまり、不用品の回収は口実で、最初から貴金属が目的という業者が一定数いる、ということです。
参照:国民生活センター「不用なお皿の買い取りのはずが、大切な貴金属も強引に買い取られた!」
事件に近い深刻な事例も起きている
国民生活センターは2024年9月、「きっかけは訪問購入?犯罪まがいの深刻なトラブルにご注意を!」という強い表現の注意喚起を出しました。紹介されている事例は、もはや商取引の相談ではありません。
- 切手帳の買取後に「貴金属はありませんか」と言われ、2階へ取りに行って戻ると業者が2人に増えていた。目を離した隙に、金のネックレスやダイヤの指輪が箱ごと空になっていた(80歳代・女性)
- 「不用品を買い取り貧しい国に寄付する」と電話で勧誘され訪問を承諾。業者が帰った後、見せただけで売っていないダイヤ付きの金の指輪がなくなっていた(女性)
- 「貴金属はないのか。タンスの中を調べてこい」と迫られ、身に着けていた母の形見の指輪を外せと要求された(90歳代・女性)
- 認知症の一人暮らしの母が、金庫を開けさせられ記念硬貨を約3万円で買い取られていた。価値は2倍以上(80歳代・女性)
ここまで来ると窃盗や強要が疑われる事件であり、消費生活センターと並んで警察の領域です。国民生活センターも、身の危険を感じた場合や盗難被害のおそれがある場合は直ちに110番するよう呼びかけています。
実務的な予防策は3つです。突然訪問してきた購入業者は家に入れない。貴金属を売るつもりがなければ、求められても見せない。見せる場合は絶対に目を離さない——単純ですが、上の事例はすべてこのどれかで防げた可能性があります。
参照:国民生活センター「きっかけは訪問購入?犯罪まがいの深刻なトラブルにご注意を!」
出張買取で法律が禁止している勧誘行為
前のセクションの手口は「怖い話」で終わりではなく、その多くが特定商取引法(訪問購入の規制)の違反行為に当たります。押さえておくべき禁止行為は次のとおりです。
| 禁止・義務 | 内容 | 条文 |
|---|---|---|
| 不招請勧誘の禁止 | 依頼していない人の自宅へ訪問して買取を勧誘すること(飛び込み勧誘)自体が禁止 | 第58条の6第1項 |
| 目的外の品への勧誘禁止 | 「洋服の買取」で承諾を得て訪問し、承諾していない貴金属を勧誘することも同項の禁止行為 | 第58条の6第1項 |
| 氏名等の明示義務 | 勧誘の前に、業者名・買取の勧誘が目的であること・対象の物品の種類を告げる義務 | 第58条の5 |
| 再勧誘の禁止 | 「売らない」と意思表示した人への勧誘の継続・繰り返しの電話は禁止 | 第58条の6第3項 |
| 威迫・困惑の禁止 | 威迫して困惑させて契約させる・解約を妨げることは禁止(罰則あり) | 第58条の10 |
つまり、アポなしで「不用品はありませんか」と来訪する時点で、その業者は法律違反をしています。まともな買取業者は、利用者からの依頼を受けてから訪問します。この一点だけでも、相手にしてよい業者かどうかの大部分は判定できます。
訪問購入の規制の全体像(クーリング・オフや対象外の品目まで)は、押し買いと訪問購入規制の解説で条文にそって詳しく整理しています。断り方の実践は出張買取の断り方をご覧ください。
悪徳業者は古物商許可の確認で見分ける
中古品の買取を業として行うには、都道府県公安委員会の古物商許可が必要です(古物営業法)。許可の有無と番号は、依頼前に自分で確認できます。
- 公式サイトの許可番号表示を見る——ホームページを利用して取引する古物商には、氏名(名称)・許可をした公安委員会の名称・許可証の番号(12桁)の表示が義務づけられています(古物営業法第12条第2項)
- 公安委員会の一覧と照合する——愛知県公安委員会は、URLの届出をした古物商の名称・URL・12桁の許可番号を一覧で公開しています。サイトの記載と照合できます(届出をした業者のみ掲載のため、載っていない=違法ではありません)
- 訪問時に行商従業者証の提示を求める——出張買取に来る従業員は許可証または行商従業者証の携帯が義務で、取引の相手から求められたら提示しなければなりません(古物営業法第11条第3項)
- 店舗があれば標識を見る——営業所には許可の標識を公衆の見やすい場所に掲示する義務があります(同法第12条第1項)
当サイトはこの確認を掲載企業8社について実施済みです。各社の公式サイトで古物商許可の記載を1社ずつ照合し、確認できた許可番号(例:買取いちばん=愛知県公安委員会 第541421300400号)を比較表に掲載しています。公式サイトで愛知県の許可が確認できなかった会社については、その旨と「依頼時に確認すべきこと」を会社欄に明記しました。許可番号を自社サイトで公開している業者は、この照合が数分で終わります。公開していない業者に依頼する場合は、見積時に許可番号を聞くところから始めてください。
参照:愛知県公安委員会「ホームページを利用して取引を行う古物商」
安全な業者を選ぶための5つの確認
「出張買取は危険」なのではなく、「依頼していないのに来る業者が危険」です。リサイクルショップの出張買取を自分から依頼する分には、ここまで見てきた規制がすべて利用者側の味方になります。そのうえで、依頼前に次の5点を確認すれば、悪徳業者に当たる確率は大きく下げられます。
| 確認すること | 見るポイント |
|---|---|
| ① 自分から依頼したか | 飛び込み訪問・突然の電話勧誘から始まった話は、その時点で断る。取引の入口として不適格 |
| ② 古物商許可番号 | 公式サイトの表示を公安委員会の情報と照合。訪問時は行商従業者証の提示を求められる |
| ③ 会社の実体 | 所在地・固定電話・運営会社名が公開されているか。拠点が近いかは対応の速さにも直結する |
| ④ 査定の内訳と書面 | 「全部で◯円」ではなく1点ずつの内訳を出すか。契約時の書面交付は法律上の義務 |
| ⑤ 解約条件の説明 | クーリング・オフと出張費・キャンセル料の扱いを事前に説明するか。曖昧な業者は避ける |
とくに④は重要です。訪問購入では申込み時・契約時の書面交付が義務で、書面を受け取った日がクーリング・オフ期間の起算点になります。書面を渡さない業者は、それだけで法律違反であると同時に、あとから取引を取り消す手段まで奪っていることになります。
出張買取という方式そのものの仕組みと流れは出張買取とは(流れと注意点)で解説しています。
トラブルになったときの相談先は188
もしトラブルになったら、一人で抱えずに次の窓口へ相談してください。状況別に3つあります。
| 状況 | 連絡先 | 内容 |
|---|---|---|
| 契約のトラブル・迷ったとき | 188(消費者ホットライン) | 最寄りの消費生活センター等を案内する全国共通番号。相談は無料(通話料は自己負担) |
| 緊急ではない不安・違法な勧誘 | #9110(警察相談専用電話) | 発信地を管轄する警察の相談窓口につながる |
| 持ち去り・脅しなど身の危険 | 110番 | 盗難のおそれ・威迫を受けた場合は直ちに通報 |
契約してしまった場合でも、訪問購入では契約書面を受け取った日から8日間はクーリング・オフ(無条件の解約)ができ、その期間中は品物を渡さないでおくこともできます(家具・大型家電など対象外の品目があります)。「もう売ったから終わり」と諦める前に、書面の日付を確認して188に相談してください。
高齢の家族のトラブルは本人が気づいていないことも多く、消費生活センターへの相談は家族やホームヘルパー、地域包括支援センターの職員からでも可能です。不審な業者の出入りに気づいたら、早めに相談することを国民生活センターも勧めています。
愛知県で安心して出張買取を頼むなら
トラブルを避ける最短の方法は、「向こうから来た業者」ではなく「自分で選んだ業者」に依頼することです。選ぶ材料として、許可・拠点・買取方法が公開されていることが最低条件になります。
当サイトでは、愛知県内で出張買取に対応する8社について、古物商許可の記載を全社分照合したうえで、買取方法・拠点・得意な品目とあわせて比較しています。確認できた許可番号は各社の欄にそのまま掲載しているため、依頼前の照合の手間を省けます。
名古屋市内で依頼先を探す場合は名古屋市の出張買取ガイドを、査定後の断り方に不安がある場合は例文つきの断り方をご覧ください。
出張買取のトラブルに関するよくある質問
出張買取の悪徳業者はどこで見分けられますか?
入口で判定できます。依頼していないのに訪問・電話してくる業者は、不招請勧誘の禁止(特定商取引法第58条の6第1項)に違反しており、その時点で取引相手として不適格です。依頼する場合は、古物商許可番号(12桁)を公式サイトで確認し、訪問時に行商従業者証の提示を求めてください。
貴金属を持ち去られたかもしれません。どうすればよいですか?
盗難のおそれがある場合は直ちに110番してください。緊急でなければ警察相談専用電話#9110、契約に関する相談は消費者ホットライン188で最寄りの消費生活センターにつながります。契約書面がある場合は、受け取った日から8日以内ならクーリング・オフも検討できます。
リサイクルショップの出張買取は危険ですか?
自分から依頼する出張買取は、特定商取引法の訪問購入規制(書面交付義務・8日間のクーリング・オフ・引渡しの拒絶など)で保護されており、仕組みとして危険なものではありません。危険なのは依頼していないのに来る飛び込み型で、相談事例の多くはこちらです。
高齢の親が狙われないか心配です。何ができますか?
訪問購入の相談は60歳以上が78.4%、女性が74.6%を占めます(2023年度受付分)。突然の訪問者は家に入れない・貴金属は見せないことを共有し、在宅時の対応を留守番電話に切り替えるのが有効です。異変に気づいたら、家族やヘルパーからでも消費生活センター(188)に相談できます。
この記事を書いた人
執筆・編集:愛知買取ナビ 編集部
愛知県で家具・家電などの不用品を売るときの買取業者を、出張・店頭(持ち込み)・宅配の3つの買取方法と品目、市ごとの粗大ごみ制度とあわせて比較しています。掲載している業者の情報は各社の公表情報、制度の数値は各市と省庁の公表資料をもとに、確認した日付とあわせて記載しています。
最終更新:2026年8月31日
